きちんとしたものをきちんと創る、それが「MODERNICA(モダニカ)」。

洗練された中に遊び心があふれる「MODERNICA(モダニカ)」のファクトリー

ロサンゼルスの中心、ダウンタウンにほど近い工場や倉庫が集まるエリアに「MODERNICA(モダニカ)」のファクトリーは存在します。敷地に足を踏み入れると目に飛び込んでくるのは、2階建ての「スパニッシュビルディング」。水色とクリーム色でペイントされた外壁には、LAらしい遊び心いっぱいの陽気なグラフィティが描かれています。これは、LAをベースに世界中で活躍しているアーティスト、DABS MYLAによる作品。古風なスパニッシュ様式の建物をリノベーションして、イベントやパーティなどに使用されています。

この「スパニッシュビルディング」と対を成すように建っているのが、「MODERNICA(モダニカ)」らしいピュアホワイトの真四角の建物。「ファイバーグラスビルディング」といい、すべてのファイバーグラスチェアがここで作られています。

広大な敷地には、これら2つの建物を囲むようにいくつかの建物がゆったりと配置されており、空間の使い方にもLAらしさを感じます。ヘッドクオーターオフィス、組み立て、ファブリック、パッキング、シッピングなどの部署が入っているのが古い赤レンガ造りの「メインビルディング」。木材加工のビルディングも併設されており、セラミックスを扱うビルディングもあります。

スパニッシュビルディング外観。 メインビルディング外観
チェアの組み立て

今も職人の手から生まれる「MODERNICA(モダニカ)」の家具

ファクトリーが稼働し始めるのは、午前7時。始業時間が近づくと、ここで何年も働いている職人たちが続々とやって来ます。仕事ぶりは実にきちんとしており、木材加工や組み立て、ソファーの縫い付けからファイバーグラスの取り扱いに至るまで、機械を用いることもあるものの、その工程の多くは現在も手作業で行われています。だれもが自分の持ち場で黙々と、実に生き生きと作業をしており、「MODERNICA(モダニカ)」の代表作である「ファイバーグラスシェルチェア」も、職人の手によって1脚ずつ作られています。

ファクトリーで作業の様子
ファクトリーで作業の様子
ファクトリーで作業の様子

まず、原料となるファイバーグラスを型に合わせて吹き付け、椅子の原型を作ります。原料が余った部分は職人によって削り取られ、少ないところにはプラスされます。さらに高温のプレス機に乗せられて、上からペイントが注がれます。プレスに必要なのは、約5分。タイマーで持ち上がるプレス機の間から、できたて熱々のファイバーグラスチェアが登場します。その後のヤスリがけなど、仕上げの工程もすべて手作業。できあがったファイバーグラスチェアは、脚を取り付けて完成となります。

作業の様子を撮影していると、みんなが手を止めて自分たちの仕事について説明してくれます。中には一番いい構図を教えてくれる人も。ここでの仕事にだれもが誇りを持って、楽しみながら取り組んでいる様子がうかがえます。

ストックされるファイバーグラスチェア モダニカファクトリーの職人

「僕たちは、ひとつの家族のように仕事をしているんだ」

レニース・アリアス

ファイバーグラスチェア部門と組み立て部門を統括しているレニース・アリアスに、「MODERNICA(モダニカ)」の職人はなぜこんなにいきいきと仕事をしているのかを聞いてみました。「MODERNICAでの仕事は、本当に楽しい。僕たちは、ただの椅子や机を作っているわけではないんだ。一つ一つが自分たちの作品であり、完成した作品は世界中に運ばれていく。

カフェテリアで食事をとる職人たち シェルチェア組み立て作業中の職人 休憩中のリラックスした職人たち

時には、世界中のビッグカンパニーやアーティストから思いがけないコラボ・プロジェクトの話が飛び込んでくることもあって、とてもエキサイティングなんだよ」と目を輝かせながら語ってくれたレニース。彼はアウトドアファニチャーの組み立て係として「MODERNICA(モダニカ)」に入社し、以来10年、ここで仕事をしています。

2ヵ月に一度、職人たちにはランチがふるまわれます。ランチ会はカリフォルニアらしく屋外で行われ、だだっ広い敷地に「MODERNICA(モダニカ)」のアウトドアファニチャーやシェルチェアがおしげもなく並べられます。そこにケータリングの食事が運ばれ、50人ほどの職人が食事をとるのです。みんなよく食べ、よく笑います。職人の中にはメキシコからの移民も多く、英語よりスペイン語での会話をよく耳にします。家族のことや週末の過ごし方、LAらしくバスケや野球の話も飛び交います。職人はみんな陽気で人間味にあふれ、「僕たちは、ひとつの家族のように仕事をしているんだ」というレニースの言葉が胸に響きます。

「MODERNICA(モダニカ)」のクリエイティブは本当にかっこいい。シンプルなフォルムでありながら遊び心や大胆さもそなえ、日々の生活に気品とアグレッシブさを同時にもたらします。その理由は、デザインの良さもさることながら、1点1点手づくりで仕上げる職人の想いが込もっているから。「MODERNICA(モダニカ)」の職人たちは今日も楽しく、誇らしげに働いています。そうして完成したファニチャーは、このファクトリーから世界中へ運ばれていくのです。


STORES & CONTACT

ミッドセンチュリーの物づくりの精神、オリジナルへのこだわりと歴史を受け継ぐ数少ないメーカーとして世界で知られているMODERNICA(モダニカ)。株式会社センチュリアムは米国MODERNICAの日本総代理店を務めています。

店舗に展示・ご販売頂けるインテリアショップ、建築設計事務所様を募集しております。新規お取引については問い合わせください。一般のお客様につきましては直営店・オンラインストア「ibukiya」もしくはお近くの取扱店にてお求めいただけます。


WRITER

Tak S. Itomiプロフィール写真

Tak S. Itomi / 飯富崇生(いいとみたかゆき)

ロサンゼルス在住の写真家。オリジナルの写真現像技術「ネイチャーアートフィルムフォトグラフィー」で、総合写真展大賞、朝日新聞賞をはじめ数々の賞を受賞。ロサンゼルスでは、ミッドセンチュリーファニチャーブランド「MODERNICA(モダニカ)」や、映画会社「ワーナー・ブラザーズ」と契約。世界の大自然、人々、文化を見て感じる驚き、発見そしてワクワクを、写真でダイナミックに表現している。